読書力 斎藤 孝著 

読書力は、私が読書を始めるきっかけになった本です。
この本は、「なぜ読書をしなくちゃいけないのか」という問いに、答えようとするものです。何のために読書をするのか?読書をすると何が良いのか?著者の答えは、読書は自己形成のための糧となる(自己形成のための読書)こと、読書はコミュニケーション力の基礎となる(コミュニケーション力の基礎作りの読書)からである。また、読書をスポーツとしてとらえ(技としての読書)上達のためには練習が必要であるとしている。

序章

読書力があるとのラインは、文庫本百冊、新書五十冊を読んだというもので、力を経験という観点(技になるのがこの数)からとらえた基準としている。
読書力があるということは、読書習慣があるということでもある。そして、精神の緊張を伴う読書が想定している読み方です。はじめのうちは、一冊を読み通すのにも、かなりの精神的なエネルギーが必要で、十頁ほど読んでは休み、あと何頁あるかを測って読むような経験が誰でもあるようです。
本は込められているエネルギー量と文化的価値の高さに比して、決して高価ではない
本を読んだというのは、まず「要約が言える」ということだが、必ずしも全体を読んでいなくても半分でも読んで要約が言えればよいとのこと。
本は、知能指数でするものではなく、本を読んだ蓄積でするもの。
児童文学は、歯に例えるなら、質の問題ではなく、読みやすさで離乳食、推理小説や歴史小説、雑誌などは乳歯レベル、さらに、永久歯レベルの読書がある。

日本には、聖書のような唯一絶対の本、すなわちthe book of booksがないから、たくさんの本を読む必要があった(これは著者が古書店の店主さんから話を聞いた)という。できるだけ多くの本を読み、価値観や倫理観を吸収する必要があるという。
日本では、大量の読書が、いわば宗教による倫理教育の代わりをなしてきたという。

1章

自分をつくる(自己形成としての読書)

教養という言葉は、ドイツ語のビルドゥングがもとであるが、自己形成というニュアンスが色濃くある。ただ、日本では幅広い文化的な知識とされることが多い。
読書は、一人のようで一人ではなく、本を書いている人との二人の時間である。また、例えば吉田兼好やゲーテなど、時間や場所が離れた人間とも出会えるものである。

自分の本棚をもつ喜びもある(本棚を見ればその人がわかると言われる)。本は背表紙が大事で、借りるものではなく、買って読むものという信念があるが、本があればせっかく読んだ経験が、思い返しやすい。
読書を通じて様々な人間像を知っておくことで、自分とは違う感性や考え方の人と出会ってもじっくりと付き合う器ができる。読書は宗教の代わりになると述べられていたが、その中でも伝記は重要な役割を果たす。

2章

自分を鍛える(読書はスポーツだ)

読書は自然に身につくものではないスポーツと同じように上達のプロセスがあり、また身体的行為であるという。
人に読んでもらう、つまり読み聞かせの効用もあり、耳からだけ聞いている経験も、イマジネーションを喚起する面白い経験となる。
次のステップとして、自分で声に出して読むこと(音読)は、注意力が高まり、意識の持続力をつける効果がある。さらに、すらすらと音読ができるようになると、自然とアイスパンも広げる練習ができ、目をどんどん先に送ることに慣れてくる。
読書は目を動かし、頁をめくり、場合によっては声に出し、ある程度同じ姿勢を保持することも必要で身体的行為でもある。
さらに、本を自分のものにするには線を引きながら読む方法は効果的である。
その際に、3色ボールペンで色分けする。著者は、赤と青が客観的な要約で、緑が主観的に面白いと思ったところである。赤は本の趣旨からしてすごく大事なところである。
読書を通じて要約力が鍛えられる

3章

自分を広げる(読書はコミュニケーション力の基礎だ)

読書をするとコミュニケーション力が格段にアップする。
読書をしていると、話し言葉がきちんと文章になってもくる。また、漢語的表現は読書を通じて鍛えられる。
話し言葉と書き言葉は、ピンポンと卓球にあたる。話すことは何となくできるようになるが、文章を読んだり書いたりすることは、練習しないとなかなかできるようにはならない
本を引用する会話や共通の読書体験があればいろいろな話ができ、これを意識的行うのが読書会である。
みんなで読書クイズ(その本に書かれていた具体的な言葉を答えにする)をしたり、近場に友人がいない場合には、好きな文章を書き写して自分の作文に組み込むのも作文のコツとなる。プロの物書きの文章をみると、他の本からの引用が多く用いられている。
本のプレゼントをすることは、自分の思いや価値観、趣味を直接語るよりも自分のことをわかってもらえることがある。

本は必ずしも全部読まなければいけないというものではない。ほんの一行でも一生の宝物になることもある。全部読み切らなければいけないと思うから、読書が進まなくなる。印象に残る一文を見出すという意識で読むのも、読書を進みやすくするコツである。

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