上室性頻拍のアブレーション

上室性頻拍のアブレーション
発作性上室性頻拍
上室性頻拍は、頻拍発作の維持に心房が不可欠なものの総称であり、発作性上室性頻拍は、発作的に起こる規則正しい上室性頻拍を指し、その機序から房室結節リエントリ―性頻拍(AVNRT:Atrioventricular Nodal Reentrant Tachycardia)、房室回帰性頻拍(AVRT:Atrioventricular Reciprocating Tachycardia)、心房頻拍(AT:Atrial Tachycardia)に分類されます。

機序
房室結節リエントリ―性頻拍(AVNRT)
房室結節内もしくはその近くに、電気の伝導する速度が異なる通り道が少なくとも2つ(速伝導路と遅伝導路)ができ、房室接合部へ上方から進入する速伝導路と下方からの遅伝導路を回路とする頻拍です。
大部分は、遅伝導路を順行性(心房側→心室側)に、速伝導路を逆行性(心室側→心房側)に回る通常型です。
房室回帰性頻拍(AVRT)
心房と心室をつなぐ副伝導路が存在し、房室結節と副伝導路を回路に含む頻拍です。
順行性の副伝導路が存在する場合は、洞調律時の12誘導心電図でΔ波を認めるためWPW症候群として認識できますが(顕性WPW症候群)、逆行性の副伝導路のみを有する場合には洞調律時の12誘導心電図では副伝導路の存在はわかりません(潜在性WPW症候群)。AVRTのほとんどは房室結節を順行性(心房→心室)に、副伝導路を逆行性(心室→心房)に旋回し、多くの症例は潜在性WPW症候群です。
心房頻拍(AT)
多くが心房の小さなエリアから速い電気興奮により起こる巣状興奮型の頻拍です。

症状
頻拍時の心拍の多くは、130~200/分となります。
突然心拍数が上昇するため、動悸を訴えることが多く、胸痛やめまい、失神(一時的な血圧低下による)などを呈することもあります。
動悸は、突然始まって、突然停止します。また、心拍は、いつもより速く規則正しいです。

診断
12誘導心電図
発作性上室性頻拍の心電図は、QRS幅が狭く(narrow QRS tachycardia)、規則正しい頻拍でQRS波形は洞調律時と頻拍時で同一です。通常型AVNRTでは、頻拍中にP波が見えないかQRSの直後に出現します(心房と心室がほぼ同時相で興奮するため)。
心電図でのポイントは、洞調律時にΔ波があれば(顕性WPW症候群)、AVRTの可能性が高く、また、著明な1度房室ブロックがあれば速伝導路経由の順行性伝導が欠如している可能性があり、AVNRTの治療の際に注意を要します。

治療
発作性上室性頻拍は、カテーテルアブレーション治療が第一選択肢である。
まずは心臓電気生理検査にて機序(AVNRT, AVRT, ATの鑑別)を解明し、引き続きアブレーションを行う。
通常型AVNRTでは、治療のターゲットは遅伝導路ですが、房室ブロックの合併症に注意します(速伝導路と近接するため)。
AVRTでは、治療のターゲットは副導路ですが、房室ブロックの合併症に注意します(部位によってる速伝導路との鑑別を要するため)。
ATでは、治療のターゲットは不整脈の起源、心房再早期興奮部位です。

参考文献:「日本内科学会誌 114② 不整脈治療最前線 日本内科学会」

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