梶が谷駅前内科クリニック
公式ブログ
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1.胆石症、急性胆道感染症
胆石症は最も一般的な胆道疾患です。無症候性胆嚢結石は経過観察でよいですが、有症候性胆石は再発率が高く、胆管炎や胆石膵炎を引き起こすため注意が必要です。総胆管結石は内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)による除去が標準です。肝内結石は再発率が高く、胆管癌のリスクを伴うため長期フォローアップが必要です。
急性胆管炎は、総胆管結石などを契機として発症し、急速に重症化することがあります。軽症例では、抗菌薬投与のみで改善することもあるが、中等度以上では速やかに胆管ドレナージが必要になります。第一選択は内視鏡的経乳頭的ドレナージであり、困難な場合には経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)や近年普及しつつある内視鏡的超音波ガイド下胆道ドレナージ(EUS-BD)が有効です。
発熱・黄疸・腹痛の三徴や炎症反応上昇を認め、特に高齢者や全身状態の不安定な患者では胆管炎を疑い、早期に専門医に紹介が勧められます。
2.難治性胆管炎:PSCとIgG4-SC
原発性硬化性胆管炎(PSC)は原因不明の進行性胆管炎であり、胆道癌リスクが高い難治性疾患です。診断にはMRCPによる特徴的な胆管像(多発狭窄や数珠状変化)が重要で、炎症性腸疾患の合併が多い点も特徴です。根治療法は肝移植のみであり、内科的治療の有効性は限定的です。PSCは胆管癌のハイリスクであるため、定期的な画像評価と肝機能検査によるサーベイランスが不可欠です。
一方、IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)はIgG4関連疾患の一表現型で、血清IgG4高値や膵病変・涙腺腫大などの合併が診断の手がかりとなります。ステロイドに良好に反応しますが、再燃も多く、悪性腫瘍との鑑別のために組織診断や胆汁細胞診が重要となります。
3.胆道癌の疫学と診断、および治療的内視鏡技術の進歩
胆道癌は依然として予後不良です。日本では、胆管癌、胆嚢癌ともに高齢化に伴い罹患数・死亡数が増加しています。膵・胆管合流異常、PSC、肝吸虫感染などが危険因子として知られ、肝内胆管癌では慢性肝疾患障害も重要な危険因子です。診断技術では、超音波、CT、MRIに加え、EUSやERCP、POCSなどの進歩により病変の直接観察と組織診断が可能となり、EUS-FNA/FNBはゲノム解析に資する高品質な検体採取を可能としました。
胆管癌の診療においては、減黄や胆道ドレナージを目的とした治療的内視鏡技術の進歩も顕著です。胆管ステントに関しては、自己拡張型金属ステント(SEMS)がプラスチックステントよりも長期開存性に優れ、被膜型や部分被膜型の開発により腫瘍浸潤や再閉塞への対応力が向上しています。さらに、近年は超音波内視鏡下肝胃吻合術(EUS-HGS)をはじめとするEUS-BDが普及しつつあります。
4.胆道癌治療の進歩とゲノム医療
従来、切除不能胆道癌の標準治療はgemcitabine+cisplatin(GC)であったが、抗PD-L1抗体durvalumab併用の有効性、GC+pembrolizmabの有効性も報告され、複合免疫療法が薬物治療の中心的役割を担うようになっています。
一方、ゲノム解析に基づく個別化医療の進展も胆道癌診療を大きく変えつつあります。胆道癌、特に肝内胆管癌では治療標的となりうる遺伝子異常が多い。FGFR2融合遺伝子陽性例に対してはpemigatinib,futibatinib,tasurgratinibが承認されており、さらに、NTRK融合遺伝子陽性例に対するTRK阻害薬、BRAF V600E変異陽性例に対するdabrafenib+trametinib併用療法が癌腫横断的に承認されています。
こうした背景から胆道癌は一律に化学療法を行う疾患から分子異常に基づき治療選択を行う疾患へと変貌しつつあります。
参考文献:
「日本内科学会雑誌 115① 胆道疾患診療の新時代 日本内科学会」
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