梶が谷駅前内科クリニック
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胆石症の管理と治療方針
胆石症は、胆道の中で澱んだ胆汁が結石を形成し、時に痛みや発熱などの症状を引き起こす病態の総称で、発生部位により胆嚢結石、総胆管結石、管内結石に大別されます。
胆嚢結石は、無症候性で経過することが多い一方で、総胆管結石は閉塞性黄疸や胆管炎、胆石膵炎といった重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
また、肝内胆石は比較的稀ですが、再発率が高く、胆管癌との関連も指摘されており、長期的な観察が必要となります。
1.胆石の種類と特徴
一般にコレステロール結石、色素結石(ビリルビンカルシウム石および黒色石)、さらに稀な胆石に分類される。
1)コレステロール結石は、本邦でも最も頻度が高く、胆嚢結石の大部分を占めます。胆汁中のコレステロールの過飽和、結晶化促進因子の存在、そして胆嚢収縮能の低下が三大要因とされます。
相対的にコレステロールが増加すると過飽和状態に至り、胆汁内で微細血漿を形成します。胆嚢内でムチンゲルやビリルビンと結合して胆泥を生じ、さらに時間の経過とともに結石へと成長します。胆嚢の収縮能が低下すると胆泥が停滞し、結石形成が促進されます。危険因子としては高カロリー・動物性脂肪の過剰摂取、脂質異常症(特に高中性脂肪血症)、肥満、ホルモン補充療法や経口避妊薬の使用、長時間の絶食や急激な体重減少などがあります。
2)ビリルビンカルシウム石は胆管結石に多く認められ、その主因は胆道感染です。胆道感染の背景には、十二指腸からの逆行性感染や門脈を介する感染があり、その多くは胆汁うっ滞を基盤として発生します。
3)黒色石もビリルビンを主成分としますが、ビリルビンカルシウム石と異なり、感染を伴わない胆嚢内での形成される点が特徴です。
主として慢性溶血性貧血や肝硬変など、胆汁中のビリルビン負荷が増大する病態に関連して生じるとされます。
2.胆嚢結石の管理
無症候性胆嚢結石では経過観察が基本である一方、有症候性では胆嚢摘出術が第一選択となります。
1)無症候性胆嚢結石
胆嚢結石の60~80%は無症候性です。欧米では成人の5~22%が胆石を保有すると推定されています。そのうち13~22%が生涯のうちに有症状化すると報告されています。
無症候性胆嚢結石に対して一律に予防的胆嚢摘出術を施行する意義は乏しく、有症状化リスクの高い群に限定して検討するのが妥当と考えられます。
若年女性で肥満を伴い、複数かつ大型の結石や胆嚢ポリープを有する群は、症候化リスクが高い集団と位置付けられています。これまでのところ胆嚢結石が胆嚢癌の危険因子であるとする明らかなエビデンスはありません。
2)症候性胆嚢結石
症状としては、右季肋部の疼痛や違和感として発症することが多く、発作時には心窩部の激しい疼痛が特徴です。また、右の肩甲骨から肩にかけての放散痛を伴い、悪心・嘔吐もしばしば伴います。
胆嚢炎を発症すると発熱を伴うことが多く、発作は食後数時間で生じることが多く、特に高脂肪食により誘発されることが知られています。
診断においては、血液検査と腹部超音波検査(US)が第一選択となります。鑑別診断には、造影CTやMRIMRCP、超音波内視鏡(EUS)の施行が推奨されます。CTでの胆石の描出はカルシウム含有に依存しており、純コレステロール結石はX線透過性のため、描出されにくいです。
胆嚢結石に対する治療は、胆嚢炎を伴わない場合は、有症状の症候性胆嚢結石では胆嚢摘出術が標準治療であり、腹腔鏡下手術が第一選択として広く施行されています。
発作時の症状緩和に関しては、ブチルスコポラミン、フロプロピオンや非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。
発作予防に関して、ウルソデオキシコール酸の長期内服が疼痛発作の出現頻度や手術移行率を低下するという報告されている一方、短期的な投与には発作予防に差がないとする無作為化比較試験もあります。胆石そのものの治療には経口胆石溶解療法と体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)がありますが、近年では施行例が減少しています。
3.総胆管結石の管理
総胆管結石は、閉塞性黄疸、胆管炎、胆石膵炎などの重篤な合併症を引き起こし得ます。症候性の場合は速やかな内視鏡的結石除去が必要である一方、無症候性例に対する介入の適応については議論が続いています。
1)無症候性胆管結石
無症候性胆管結石に遭遇した場合には、無症状であることを踏まえ、治療介入によるリスクとベネフィットを十分に説明したうえで、長期的に急性胆管炎や膵炎を発症するリスクを考慮して、内視鏡治療(結石除去)が推奨されています。
2)症候性胆管結石
総胆管結石の代表的な症状は、結石の胆管嵌頓に伴う腹痛・黄疸です。発熱・腹痛・黄疸からなるCharcot三徴と、これらに意識障害とショックを加えたRaynolds五徴が有名です。
症候性胆管結石に対する標準治療は、ERCP下での内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)と続いて施行されるバスケットカテーテルあるいはバルーンカテーテルによる内視鏡的結石除去術です。EST単独で除去困難な大結石に対しては、内視鏡的機械的破石術(EML)が施行され、さらに、内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(EPLBD)が確立された治療手技として導入されており、さらに、胆道鏡下での電気水圧衝撃破砕装置やレーザー破砕術などを用いた破石処置が有効です。
4.肝内結石の管理
肝内結石は、胆汁うっ滞や慢性的な胆道感染を背景として発生することが多く、その主成分はビリルビンカルシウムであることが多いです。臨床的には反復する胆管炎を特徴とし、治療に難渋することが少なくなく、再発率が高い点が問題です。また、長期的には胆管癌のリスク因子となることが知られています。合併する頻度は2.4~23.3%と幅広く報告されています。
診断にあたっては、まず低侵襲で施行可能な腹部US、CT、MRI/MRCPがスクリーニング検査として有用であり、併存する肝内胆管癌の可能性を念頭に、CEAやCA19-9といった腫瘍マーカーの測定も行います。肝内胆管癌の併存が疑われる場合には、ERCPやバルーン内視鏡下ERC、経皮経肝的胆道造影などによる直接胆道造影を施行し、胆管細胞診・胆管生検・胆道鏡を用いた精査が必要となります。
肝内結石症の治療には、手術的治療と非手術的治療があります。
最も多く施行されている手術的治療は肝切除術であり、根治術が期待できる治療であり、肝内胆管癌を合併した症例や、肝萎縮を伴う症例では肝切除の適応とされます。
非手術的治療としては、現在は、ERC下あるいはバルーン内視鏡下ERCでの内視鏡的治療の割合が増加しており、遺残結石の除去や胆汁流出路の確保を目的に積極的に行われています。
無症状の肝内結石に対しては、ガイドラインでも肝内胆管癌の合併や肝萎縮がなければ経過観察が推奨されていますが、画像検査や腫瘍マーカーを用いた長期的なフォローアップが必須となります。
参考文献:
「日本内科学会雑誌 115① 胆道疾患診療の新時代 日本内科学会」
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