「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」山中伸弥著

「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」山中伸弥著
この本での自分なりに参考にし、メモしておきたいことをまとめてみました。

iPS細胞:
iPS細胞は、日本語で人工多能性幹細胞といい、二つの大きな特徴があり、一つは、高い増殖能力、もう一つは、高い分化能力を持っていることです。
iPS細胞は、体のいろいろな細胞から作ることができ、例えば、皮膚の細胞を培養し増殖させ、そこに、4つの遺伝子をいれると、皮膚だった細胞が、姿形を変え、能力の変わったiPS細胞になります。
iPS細胞を使い、再生医療創薬が研究されています。
例えば、①病気になる前の元気な心筋細胞を大量に作り出し、患者さんに移植することによって心臓の機能を回復できる②iPS細胞から作り出した細胞を培養し続ければ、体内で進んだ病気の過程を体外で再現でき、病気の仕組みがわかり、有効な薬をさぐる手がかりとなり、また、毒性や副作用も事前に調べられます。

山中先生の好きな言葉:「人間万事塞翁が馬」
人生における幸・不幸は予測できないという故事。山中先生は、整形外科医としての研修医時代(臨床医)としては、ジャマナカと呼ばれるなど個人的にも壁にぶつかり、また、臨床医の限界も感じたことが、逆に、研究者(研究医)としての新たな道(ノーベル賞受賞も)につながるなど、まさに、「人間万事塞翁が馬」を体験されているようです。また、研究者に向いていると思えたのは、しょうもないと思った実験でも、心底興奮できたという感覚があったからだそうです。

初の実験で学んだ3つの教訓:
①科学の面白さは、予想通りの結果にならないところ②予想外のことが起こるからこそ、新薬、新治療法を、準備なしにいきなり患者さんに使用することは絶対にしてはならない③先生のいうことはあまり信じてはならない(先生の考えをそのまま信じず、先入観も持たないこと)

研究者として成功する秘訣はVW:
V(Vision)ビジョンW(Work hard)一生懸命働くことを海外留学先の先生より教わる。

iPS細胞ができるまでの出来事:
山中先生が新しい遺伝子(NAT1遺伝子)を発見する経験

ES細胞(胚性幹細胞)が新しい遺伝子研究をするための研究材料から研究対象になる。ES細胞に惹かれたのは、後に作成されるiPS細胞と同じように、万能細胞で、高い増殖能力と分化能力を持っていたこと。

ヒトのES細胞が作成されたこと。これまでのES細胞はマウスのものであったが、ヒトのES細胞が作成され、再生医療の切り札として期待されるようなった。
ただし、ES細胞は、もともとは受精卵からとりだした胚であり(そのまま子宮の中にいれば人間になるはずの胚)、倫理的な問題と移植した際に免疫拒絶反応を起こす(他人のDNAを持っている)免疫拒絶問題があった。

皮膚の細胞からES細胞に似た細胞を作ろうと考えた。分化の逆の脱分化(初期化あるいはリプログラミング)

カエルの核移植によるクローン作成
カエルの腸の細胞から核を抜き出し、別のカエルの卵子の核を抜き取り核移植し、オタマジャクシを作ることがきできた。

クローン羊ドリーの誕生
両生類ではなく、哺乳類でもクローンが作成できた。哺乳類でも一旦分化した細胞を初期化することができたのです。

どんな細胞も設計図(遺伝子のセット)は同じで、細胞の運命を決めるのはしおり(転写因子)であることが証明される。
ショウジョウバエの実験で、ある細胞で働いている転写因子を別の細胞で無理やり働かせると細胞の性質がかわることを応用し、触覚に目をつくることで証明された。

初期化因子(転写因子)探し
分化した体細胞を初期化するのも転写因子であり、卵子だけでなく、ES細胞にも同様にあることがわかる。
皮膚細胞もES細胞も設計図(遺伝子のセット)は同じで、働いているしおり(転写因子)が違うと仮説をたて、ES細胞の転写因子を皮膚の細胞に送り込めば、皮膚細胞を初期化してES細胞に似た万能細胞に変えることができると考えた。

iPS細胞(Induced Pluripotent Stem Cells)を樹立
初期化因子としてES細胞にとって特に大切な24個の遺伝子(転写因子)を絞り込み、最終的に4つの遺伝子が残り、ES細胞のような増殖力と分化多能性を持つ細胞を樹立(マウスそしてヒトのiPS細胞樹立)。日本語で人工多能性幹細胞。

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