新型コロナワクチン接種後の血尿

新型コロナワクチン接種後に尿が赤くなる(肉眼的血尿)方が全国的にも報告されています。

血尿の原因にIgA腎症という腎臓の炎症の疾患が疑われる方がいるようです。
日本腎臓学会の報告では、2021年6月の時点(医療従事者の先行接種のみ実施していた時期)で、若年女性に多い傾向がうかがわれました。2回目接種後の出現が約7割で、1週間以内の持続が約8割でした。既にIgA腎症と診断のついていた方は7割で、3割は未診断の方であり、腎生検に至らない尿所見の方々においてもワクチンで肉眼的血尿が誘発された可能性があります。また何らかの治療で尿所見が安定していたものの、肉眼的血尿を呈した方もいます。一部の症例はまだ経過を観察する必要がありますが、大部分は尿所見の悪化はあったものの一過性で改善しており、深刻な腎機能障害に至っていないと考えられます。
現在は、一般住民へのワクチン接種が進んでいるため、IgA腎症患者ではワクチン接種後に肉眼的血尿が出現する可能性があるものの、コロナ感染のリスクを考慮しつつ、これまでの報告をもとにワクチン接種の指導が勧められています。また、IgA腎症の診断のついていない方にも、肉眼的血尿の症状が出現する可能性があります。未診断の陽性者(血尿陽性)が受診された際には、IgA腎症予備群として今後経過観察が必要となります。

ワクチン接種後に血尿があった方は、一度、腎臓内科にご相談・受診いただければと思います。

《関連ページ》

画像の説明