慢性腎臓病治療薬としてのSglt2阻害薬

Sglt2阻害薬は、ナトリウムーグルコース共輸送体であるSglt2を阻害することにより糖を尿に排泄する血糖降下薬である。

2型糖尿病合併CKDでは、正常アルブミン尿でも腎障害進行抑制効果がある。
糖尿病非合併CKDでは、IgA腎症に代表される慢性糸球体腎炎で効果的である。

Sglt2阻害薬の腎保護効果のメカニズムは、hemodynamic effectとして糸球体過剰ろ過軽減血圧改善、ナトリウム利尿、ヘモグロビン上昇などがあり、metabolic effectとして血糖降下、尿酸低下、脂質改善、体重減少、さらに、腎臓の皮質の酸素化の改善等がある。

CKD治療におけるSglt2阻害薬の適正使用に関しては、
糖尿病合併CKDでは、アルブミン尿(蛋白尿)や腎機能に関係なく(ただし、eGFRで新規開始の制限あり)、Sglt2阻害薬(カナグル®、フォシーガ®)を積極的に使用を考慮する。

糖尿病非合併CKDIgA腎症や巣状分節性糸球体腎炎など)では、蛋白尿陽性であれば、Sglt2阻害薬の積極的な使用を考慮する。

心不全合併したCKDでは、心保護効果ももたらすため、良い適応である。

高血圧、貧血、脂質異常症、高尿酸血症を有するCKDに対する投与は有用である可能性がある。

「日本内科学会雑誌112巻5号参照」
「腎疾患・透析最新の治療 2020-2022 南江堂 参照」
「日腎会誌 2023 65(1):1-10 参照」

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