梶が谷駅前内科クリニック
公式ブログ
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インクレチン関連薬
消化管から分泌され、インスリン分泌を促進する消化管ホルモンは、総称してインクレチンと呼ばれ、GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)およびGLP-1(glucagon-like peptide-1)があります。膵臓のβ細胞からの血糖依存的にインスリン分泌を増強します。インクレチンのインスリン分泌促進作用に基づく2型糖尿病治療薬をインクレチン関連薬と言います。
DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬は、低血糖リスクを抑えつつ日本人を含む東アジア人の2型糖尿病に特徴的なインスリン分泌障害を是正し血糖を改善する。
GLP-1受容体作動薬は血糖改善に加え、減量効果や心血管疾患、糖尿病関連腎臓病、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患などに効果を持ち、GIP/GLP-1受容体作動薬とともに肥満を伴う若年層の2型糖尿病に対する重要な治療選択肢となっている。
DPP-4阻害薬
DPP-4阻害薬は、内因性インクレチンの分解を抑制し、生理的レベルでその活性を高めることで、血糖依存的にインスリン分泌を増強し血糖改善効果を発揮する。肥満及びインスリン抵抗性を特徴とする白人の2型糖尿病と比較して、日本人を含む東アジア人の2型糖尿病は、非肥満かつインスリン分泌障害では、DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬による血糖改善効果が高いとされます。
DPP-4阻害薬は、単剤使用では低血糖リスクが低く、高齢者にも比較的安全に使用でき、糖尿病治療薬の処方を受ける患者の約8割が使用しています。
GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬は、DPP-4耐性を有するペプチド製剤であり、DPP-4阻害薬と同様にインスリン分泌障害を是正し、血糖改善効果を発揮します。
さらに、食欲抑制を介して減量効果をもたらすことから、肥満を伴う2型糖尿病患者の治療選択肢として注目され、また、心血管疾患や慢性腎臓病を有する患者に対するadditional benefitsを期待して使用することが推奨されています。
GLP-1受容体作動薬の短時間作用型(1日1-2回投与:エキセナチド、リキシセナチド)は、胃内容物排泄遅延作用を主とし、食後血糖を改善する。長時間作用型(1日1回または週1回投与:リラグルチド、デュラグルチド、セマグルチド)は、インスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制を通じて血糖改善効果を発揮する。
GLP-1受容体作動薬の血糖改善効果は、残存する膵β細胞機能に依存することから、早期導入が望ましいとされる。
血糖改善効果とは独立して、血糖改善を超えて、慢性炎症の抑制、脂質代謝の改善、血圧低下、血管内皮機能の正常化を通じて、心血管イベントおよび腎イベントのリスクを軽減することが示されています。
GIP/GLP-1受容体作動薬
現在、使用可能なのはチルゼパチドのみ(週1回投与)である。
血糖正常化をめざす目標値は、HbA1C 6.0未満とされているが、従来の治療薬では低血糖を伴わずにこの目標とを達成することは困難であったが、チルゼパチドにより、糖尿病合併症の発症および重症化予防における血糖正常化の意義が再評価される可能性があります。
日本において糖尿病を有する人の7割以上を占める65歳以上の高齢者では、非肥満かつインスリン分泌障害を主な特徴とする症例が多い。このような症例では低血糖リスクを高めることなく、インスリン分泌障害を是正しうるDPP-4阻害薬が引き続き重要になる。
一方、若年層で増加傾向にある肥満を伴う2型糖尿病に対しては、著明な血糖改善および減量効果を発揮し、加えて糖尿病関連腎臓病や心血管疾患に対するadditional benefitsを示すGLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬の果たす役割が大きくなります。
2型糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬
血糖降下薬として開発され、現在は、心・腎など多彩な臓器保護薬として認識される。
ナトリウム依存性グルコース輸送担体(Sodium-Glucose Co-Transporter:SGLT)は腸管・腎近位尿細管刷子縁に局在し、電気化学的勾配依存性にグルコース、浸透圧物質、アミノ酸、ビタミン、各種イオン輸送などに重要な役割を演じる。
SGLT2は、腎臓近位尿細管曲部に発現しており、濾過されたグルコース(糖)の約90%はSGLT2を介して再吸収されています。
SGLT2阻害薬は、血行動態依存的、非依存的な機序で腎保護に寄与し、優れた心不全に対する抑制効果を演じています。
SGLT2阻害薬の血糖降下作用
腎臓の近位尿細管でのグルコース(糖)再吸収を抑制し、尿中にグルコースを排出することにより血糖降下作用を示しますが、インスリンの作用を全く介していないのが特徴です。
注意として、インスリン作用が絶対的・相対的に著しく低下した状態にSGLT2阻害薬が投与されると血糖降下作用の有無にかかわらず、多量の糖が尿中に排泄されるためケトアシドーシスのリスクや尿量の著明な増加を伴う体液量減少などのリスクが高まる可能性もあります。
SGLT2阻害薬の腎保護効果
慢性腎臓病(CKD)を有する糖尿病患者では尿アルブミンの有無にかかわらず、腎保護効果が示されているため、SGLT2阻害薬の投与を積極的に考慮するとされています。
SGLT2阻害薬の心保護作用
一次予防、二次予防を問わず、心不全を抑制しており、また、2型糖尿病の有無にかかわらず、左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)およびEFが保たれた心不全(HFpEF)においても、心血管イベントおよび心不全を抑制することが示されています。
SGLT2阻害薬による臓器保護効果
血行動態依存的機序の可能性
SGLT2を介した尿細管におけるグルコース再吸収はNa+取り込みを伴うため、糸球体から濾過されたNa+のうち、グルコース再吸収とともに取り込まれたNa+以外のNa+は下流の尿細管からマクラデンサまで流れて行きます。マクラデンサは、糸球体濾過量が増大時に、輸入細動脈を収縮させ糸球体濾過量を低下させます。また、糸球体濾過量が低下した時は、輸入細動脈を拡張させ糸球体濾過量を増やします。
慢性高血糖環境下では、SGLT2を介したグルコースとNa+の再吸収は過剰となり、SGLT2活性化はsodium-hydrogen excahnger3(NHE3)を介しさらにNa+の再吸収は過剰となり、その結果、マクラデンサに流れ込むNa+量は低下します。そのため、マクラデンサでは、輸入細動脈の拡張、輸出細動脈を収縮するという誤った情報を伝えることになり、糸球体濾過圧は上昇し、単一糸球体濾過量は増大する、糸球体過剰濾過、糸球体高血圧につながるとされます。
SGLT2阻害薬は、尿細管・糸球体フィードバックの正常化、糸球体高血圧抑制、過剰糸球体濾過を是正へと誘導できる可能性があります。
血行動態非依存的機序の可能性
再吸収された過剰なグルコースが病的意義を持つ可能性
近位尿細管における解糖系の誘導と細胞老化や炎症に関与するmTOR活性化が確認され、SGLT2阻害により抑制されます。また、SGLT2阻害によりケトン体を増加させることが知られており、ケトン体もmTORの抑制に働くことが示されています。
その他の血行動態非依存的機序
Na利尿・降圧効果
ケトン体による酸化ストレス抑制等の効果
交感神経抑制による効果
貧血改善による効果
尿酸低下(尿酸排泄増加)と結石抑制による効果などが想定されています。
参照文献:「代謝領域 2型糖尿病治療のアップデート 日本内科学会雑誌 114④ 日本内科学会」
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