健康診断 心電図 検査所見

心電図検査
不整脈があるか ②心筋の血液循環が不良(狭心症)や心筋が壊死(心筋梗塞)していないかなどがわかります。

聞きなれない心電図所見例
RSR’パターン:⼼房からの電気刺激は⼼室に⼊ると右室は右脚、左室は左脚前枝・後枝に分かれ合計 3 本の⼼筋内伝導ルートを伝わり左右⼼室の筋⾁を収縮させます。RSR’パターンは、右脚の電気の流れがわずかに障害されている場合に認めます。いわゆる異常心電図波形として指摘されますが、正常者でも認めることがあり問題ありません。

不完全右脚ブロック:右脚の電気の流れがわずかに障害されていますが、伝導時間は正常範囲内に保たれており問題のない状態です。いわゆる異常心電図波形として指摘されますが、RSR’パターンと同様に正常者でも認めることがあり問題ありません。

完全右脚ブロック:右脚の電気の流れがブロックされた状態です。基礎疾患のない右脚ブロックは問題のない事が多く、電気の流れは左脚を通って伝わりますので右心の収縮には影響はありません。定期的に心電図検査を受けるようにしてください。狭心症、高血圧性心疾患などを合併し指摘された場合には原疾患に対する治療が行われます。

左脚前枝ブロック/左脚後枝ブロック:左脚ブロックはその背景に心疾患を有する事が多く注意が必要です。狭心症、高血圧性心疾患、心筋炎などの心筋障害、弁膜症などが原因になることがあります。左脚の伝導路のうち前枝または後枝のそれぞれ1本が障害されている場合にさらなる障害が生じる場合があり、定期的な心電図検査による経過観察が必要です。

R波増高不良:心電図波形のR波(上向きの幅の狭い波)は、胸の左側の電極(V3-6)で記録した方が、胸の真ん中付近の電極(V1-2)で記録したものよりも大きくなるのが普通です。R波がほとんど大きさが変わらない場合をR波増高不良と呼びます。心筋梗塞や肺気腫、心筋症などで見られますが、健常者にもしばしば見られ、痩せ型の体型の方にもよく現れます。

異常Q波:心電図波形のQ・R・S波は、下向きのQ波と上向きのR波、下向きのS波で成り立っています。そのうちQ波が著しく大きくなる場合を異常Q波といいます。心筋梗塞や心筋症など強い心筋障害によって見られますが、健常者にもこの所見が見られることがあります。

右軸偏位/左軸偏位:心臓の筋肉が働く時に流れる電流の方向のことを平均電気軸といいます。この軸が通常より右側に傾いていることを右軸偏位、左側に傾いていることを左軸偏位といいますが、軸偏位だけでは病気ではなく特に問題ありません

反時計/時計回転:心臓の位置がやや左回り(反時計方向)に回転していることを反時計回転いい、やや右回り(時計方向)に回転していることを時計回転いいます。。一般的に問題はありません

異所性心房調律:心臓を収縮させる刺激が、心房内の通常以外の場所から発生しています。この所見だけでは特に問題はありません

PQ(PR)短縮:心房から心室へ刺激の伝わる時間が通常より短く、刺激伝達路に異常の疑いがあります。心臓の拍動が危険なほどに早くなることがあるかもしれません。発作的に動悸を感じることがあれば、循環器科を受診してください。

ブルガダ型(coved型, type1):危険な不整脈(心室細動、心室頻拍)がおこる可能性があります。循環器科受診をお勧めします。特に過去に失神発作があるとき、近親者に突然死した人がいるときは必ず受診してください。

ブルガダ型(saddle back型, type2):危険な不整脈(心室細動、心室頻拍)がおこる可能性があります。過去に失神発作があるとき、近親者に突然死した人がいるときは循環器科を受診してください。
※Brugada(ブルガダ)症候群は日本人をはじめとするアジア人に多く、ほとんどが成人男性です。一度でも心肺停止やVF蘇生後などの既往があれば間違いなく高リスクですが、実際にはほとんどのBrugada(ブルガダ)症候群は無症状で、職場検診などで見つかることが多いです。

WPW症候群:心房-心室間の電気が伝わる正常なルート以外に副伝導ルート(ケント束)が存在するため心房心室伝導時間が短縮します。異常な伝導による頻拍発作がなく自覚症状もなければ問題ありません。頻拍発作の回数が多く日常生活に制限が生じる場合や失神などの重い症状を認める場合には医療機関を受診し精密検査を受けてください。

参考文献:
「日本人間ドック学会・予防医学学会ホームページ参照」
「日本予防医学協会ホームページ参照」
「国立循環器病研究センターホームページ参照」

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