インクレチン GLP-1受容体作動薬

膵β細胞からのインスリン分泌
1)惹起経路
グルコースが膵β細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれ、ミトコンドリアで代謝されると、細胞内のアデノシン三リン酸(ATP)濃度が上昇し、ATP感受性カリウムチャネルが閉じられることで細胞膜の脱分極が起こります。これにより電位依存性カルシウムチャネルが開き、カルシウムイオン(Ca2+)が流入し、細胞内のCa2+濃度が高まり、インスリンが分泌されます(惹起経路)。
2)増幅経路
インクレチン製剤(GLP-1受容体作動薬)は、膵β細胞膜上のGLP-1受容体に作用することで、細胞内のcAMP濃度の上昇を介して細胞内Ca2+濃度を高め、グルコース刺激による「惹起経路」を増強することでグルコース依存的にインスリン分泌を亢進します(増幅経路)。
したがって,血糖値(グルコース)が低く惹起経路が活性化されていないとインクレチンやインクレチン製剤によるインスリン分泌増幅はないが,一方,血糖値が高い状態ではインクレチンやインクレチン製剤は効率よくインスリン分泌を増幅します。

参考文献
「トルリシティ ® (デュラグルチド(遺伝子組換え)Lilly Medical 」
「日本内科学会雑誌第101巻第3号」

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