無症候性頸部・頭蓋内動脈狭窄・閉塞

無症候性頸部・頭蓋内動脈狭窄・閉塞

無症候性頸動脈狭窄は脳梗塞の原因となるため、一次予防として動脈硬化リスクファクターの管理が勧められる。

無症候性とは、症状が起こっていない、つまり、脳梗塞による麻痺等の自他覚症状がない状態。
一次予防とは、病気を未然に防ぐ、つまり、脳梗塞を始めて発症するのを抑えること(再発予防ではなく)。
頸動脈狭窄の程度は、頸部超音波(エコー)検査等にて50%以上が中等度70%以上が高度狭窄とされます。

まず、無症候性頸部動脈狭窄・閉塞に対する脳梗塞の一次予防に有効な薬物治療のエビデンスは示されていない

一般的な脳梗塞の一次予防の治療として、禁煙・節酒・高血圧・糖代謝異常・脂質異常などの動脈硬化リスクファクターの管理が勧められます。

頸動脈エコーによるIntima-media thickness (IMT)についてのメタ解析および報告によると、高血圧に対する降圧薬、脂質異常に対するスタチン、および糖尿病に対する経口血糖降下薬のピオグリタゾン、また抗血小板薬のシロスタゾールは、IMT肥厚の進展抑制や退縮効果があると言われているが、これらの薬物が頸動脈狭窄病変の進行やそれに伴う脳梗塞予防に有効であるかもしれないが、それを示すエビデンスはないとのことです。

頸動脈エコーにおける評価において、検査頻度、異常所見を認めた際の対応、LDL-Cの管理目標に関して

プラークやIMTの肥厚を認めた場合は、1~2年に1回程度の検査が妥当な頻度とされます。
狭窄病変や可動性プラーク、潰瘍病変などのよりリスクの高い異常所見を認めた場合は、3~6ヵ月での再検査が必要になります。

尚、LDL-C値との関連については、プラークやIMT肥厚を認める患者を対象にして、心血管イベント発症を前向きに研究した十分な報告がないのが実状です。
そのため、IMT肥厚やプラークが存在するからといってこれらの患者さんがすべて高リスク病態と設定することはできません

基本的には、①冠動脈疾患やアテローム血栓性脳梗塞の有無、②末梢動脈疾患の有無および糖尿病、慢性腎臓病などを確認して、LDL-C管理目標設定を行っていきます。

無症候性脳梗塞に対して抗血小板療法は必要か?
1.無症候性脳梗塞に対して、一律での抗血小板薬療法は勧められていません(推奨度Ⅾ エビデンスレベル低)
2.ただし、個々の症例のリスクを慎重に検討し、十分な血圧コントロールを行った上で、出血性リスクに十分に配慮した抗血小板療法を考慮してもいいとされています(推奨度C エビデンスレベル低)

無症候性脳梗塞に対する抗血小板療法は、出血性合併症のリスクと症候性脳梗塞予防のベネフィットを比較して慎重に検討する必要があります。抗血小板薬のうち、ホスホジエステラーゼⅢ阻害薬であるシロスタゾールは脳梗塞二次予防において出血性合併症が少ないことがメタ解析で示されており、無症候性脳梗塞に対して抗血小板薬を使用する場合に推奨されます。
一見、無症候性のように見えても、詳細な病歴聴取や神経学的診察、頸動脈エコーや頭部MRI画像により脳卒中の既往や症候、頸動脈・頭蓋内主幹動脈狭窄症が同定できれば、その患者には抗血小板療法が適応となります。

参考文献
「脳卒中治療ガイドライン 2021「2023改訂」」
「脳卒中治療ガイドライン 2021「2025改訂」」
「脂質異常症診療ガイド 2023年版 日本動脈硬化学会」
    

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