膠原病疾患の診断 症状と検査

膠原病疾患は、自己免疫機序により結合組織に慢性的な炎症や線維化が生じる疾患群の総称です。
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、多発性筋炎・皮膚筋炎、混合性結合組織病、シェーグレン症候群などが含まれます。
多臓器に病変を生じ、慢性的な炎症の持続によって不可逆的な臓器障害を起こしうります。
膠原病疾患を疑うきっかけとなりうる代表的な症状として、関節痛とレイノー現象があります。さらに、膠原病疾患を疑った際に一次スクリーニングとして行う主要な自己抗体検査として、抗核抗体(ANA)、リウマトイド因子(RF)、抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)等があります。
1.膠原病疾患の診断に重要な症状
1)関節痛
関節痛は、最も頻度が高い初発症状の一つです。
疼痛を感じる部位が関節であるか確認し、他動的に関節を動かして疼痛が増強されるかどうかも大切です。
次に、関節痛が炎症性(関節炎)であるか非炎症性であるかの判断が必要です。
関節炎の鑑別には、発症様式(急性か慢性か)や罹患関節数(1関節であるか複数であるか)が重要です。
慢性多関節炎を呈する疾患には、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、脊椎関節炎などの膠原病の多くが含まれます。
罹患関節の分布の把握も有用です。
関節リウマチでは、小関節を中心に左右対称性に罹患関節が分布すやすく、また、中手指節関節や近位指節関節が罹患しやすい。
また、関節外症状(皮膚や頭頚部所見など)の存在が関節痛を呈する疾患鑑別に役に立ちます。
2)レイノー現象
レイノー現象は、動脈の機能性障害の一つであり、寒冷刺激や精神的ストレスを契機として間欠的に指趾に生じる血流障害です。
虚血によって皮膚が白色となった後、組織の酸素分圧の低下によるチアノーゼに伴い紫色となり、最後に血液の再灌流に伴い赤色となる三相性変化を呈します。原因としては、血管運動神経の異常興奮、血管の寒冷刺激による感受性亢進、血管内皮の機能異常、血液粘性度の亢進などが考えられます。
レイノー現象は人口の約5%にみられる比較的一般的な症状で、大多数が基礎疾患を伴わない一次性レイノー現象であり、10~30歳代の女性に多く、左右対称性に出現し、指趾に潰瘍や壊死をきたすことはまれで予後良好とされます。膠原病をはじめとした基礎疾患を伴うレイノー現象を二次性レイノー現象といいます。
レイノー現象以外の症状間質性肺疾患、肺高血圧症の合併などを伴う症例では、膠原病疾患に伴う二次性レイノー現象を強く疑います。

2.膠原病疾患の診断に重要な検査
1)抗核抗体(ANA)
ANAは、膠原病疾患のスクリーニング検査として広く使用されている自己抗体検査です。
ANAは核の構成成分であるDNA、ヒストンタンパク質、リボ核酸タンパク質複合体などの抗原に対して産生される自己抗体の総称であり、様々な膠原病疾患で高頻度に検出されます。
臨床的意義があると考えられているのは一般的には160倍以上です。
ANAは多くの膠原病疾患で陽性となり、特に全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、混合性結合組織病では高力価を示すことが多いです。
ANAの解釈においては、力価のみならず蛍光染色パターンが重要です。均質型、辺縁型、斑紋型、散在斑紋型、核小体型などがあります。
均質型であればDNAやヒストンに対する自己抗体の存在が想定され、全身性エリテマトーデスや薬剤性ループスが疑われます。
散在斑紋型であればセントロメアに対する抗体の存在が想定され、シェーグレン症候群などが疑われます。
2)RF(リウマトイド因子)および抗CCP抗体
RFは、関節リウマチの診断において最も古くから知られている血清中の自己抗体であり、現在も広く臨床現場で使用されています。RFは変性したIgGのFc領域に対する自己抗体である。
RFは一般的には疾患活動性が高い関節リウマチやリウマトイド血管炎において高力価を示す例が多く、RF高力価は関節破壊のリスク因子です。
抗CCP抗体は、関節リウマチにおいて特異度95%程度で疾患特異性の非常に高い自己抗体であり、診断的有用性が高い。RFと併用することにより診断精度が向上します。関節リウマチ患者血清中の出現するシトルリン化されたフィラグリンなどのタンパク質に対する自己抗体を検出します。
抗CCP抗体陽性例は陰性例と比較して、骨びらんの出現頻度が高く、関節破壊が進行しやすいです。
日常診療では、関節痛や朝のこわばりを主訴として関節リウマチが疑われる症例に対しては、RFと抗CCP抗体を同時に測定することが勧められます。
RFと抗CCP抗体が共に陰性である血清反応陰性RAの可能性も考慮する必要があり、また、リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群、成人スチル病では陰性となります。
3)ANCA
ANCAは、好中球の細胞質に局在する自己抗原に対する自己抗体です。
染色パターンにより細胞質全体がびまん性顆粒状に染色される細胞質型ANCA(c-ANCA)と核周辺が強く染色される核周囲型ANCA(p-ANCA)に分類されます。c-ANCAの対応抗原はproteinase-3(PR3)であり、p-ANCAの対応抗原はmyeloperoxidase(MPO)です。
ANCAは、血管炎症候群の中で特に小~中型血管に炎症をきたすANCA関連血管炎の診断マーカーとして位置づけられます。
ANCAの抗体価は、ANCA関連血管炎の疾患活動性と連動することが多い。
ANCA関連血管炎は、多発血管炎性肉芽腫、顕微鏡的多発血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫の3疾患を含みます。
一般的には、多発血管炎性肉芽腫ではPR3-ANCA,顕微鏡的多発血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫ではMPO-ANCAがそれぞれ高率に陽性となります。

参考文献:「日本内科学会雑誌 114⑩ 膠原病への最新アプローチ 日本内科学会」

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