鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬など)

鎮痛薬

一般に疼痛は侵害受容体性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛に分類されてきたが、侵害受容の可塑的変容によって生じる痛覚変調性疼痛(侵害可塑性疼痛)が提唱されています。

慢性疼痛の薬物療法は、第一選択薬として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)外用剤またはアセトアミノフェン(AAP)が推奨されています。
それでも効果が得られない場合には、選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬を含む経口NSAIDsやオピオイドを慢性疼痛の程度に寄って選択します。

アセトアミノフェン(AAP)
アセトアミノフェンは比較的安全性の高い薬物であり、オピオイドなどとの併用で作用が増強します。中枢性COX阻害により痛痛閾値を上昇させることに加え、カンナビノイド受容体やセロトニンを介した下降性抑制路を賦活化するなどの作用機序が報告されていますが、詳細は明らかななっていません。
鎮痛・解熱作用はありますが、抗炎症作用はほとんどありません。また、平熱時にはほとんど体温に影響しません。
4g/日を上限用量として承認されていますが、最も問題となる副作用は肝障害であり、肝疾患のある患者では1.5g/日以下(1回500㎎を3回ままで可)が推奨されます。さらに、アルコール摂取で肝障害のリスクが高まります。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
NSAIDsはCOXに結合して阻害し、プロスタグランジン(PG)などの合成を抑制します。COXにはCOX-1とCOX-2というアイソザイムがあり、COX-2は炎症性サイトカインなどの刺激により発現が誘導されます。
侵害受容性疼痛には過剰なPGが関係しますが、一般にはPGがブラジキニンなどの発痛作用の閾値を下げて痛みを増強するためとされています。また、神経末端及び脊髄後角を介した痛みの伝達にPGが直接関係しています。すなわち、NSAIDsはPG産生を抑制することにより、抗炎症作用とともに鎮痛作用を発揮します。
一般には、鎮痛・解熱作用を期待して様々な疾患(①リウマチ性疾患、運動器疾患、②①以外の疼痛性疾患、③発熱を伴う疾患など)に投与されます。
分類には、①化学構造による分類、②剤形または広義のdrug delivery systemによる分類、③血中半減期による分類などあります。

①化学構造による分類
酸性:
サリチル酸系(アスピリン)
アリ―ル酢酸系
 フェニル酢酸系(ジクロフェナム)
 インドール酢酸系(インドメタシン)
 ピラノ酢酸系(エトドラク)
プロピオン酸系(イブプロフェン、ロキソプロフェン)
オキシカム系(メロキシカム)
中性:
コキシブ系(セレコキシブ)
塩基性:
チアラミド

②NSAIDsの広義のdrug delivery system(DDs)の例
徐放剤: ボルタレンSR 効果持続 効果やや弱い
坐薬:  ボルタレンサポ 胃障害減少 局所副作用/煩雑
プロドラック: クリノリル、ロキソニン、レリフェン 胃腸障害減少
経皮吸収剤:ロコアテープ 経皮吸収率高い 内用剤と同等副作用
貼付剤:モーラステープ 全身性副作用減少 局所効果/副作用

③血中半減期
一般に患者の服薬アドヒアランス向上を除けは、長半減期NSAIDsの利点は少なく、むしろ肝・腎疾患患者や高齢者では蓄積による副作用増強の懸念があります。
長半減期:
ピロキシカム(パキソ)48時間(半減期)分1(用法)
メロキシカム(モービック)28時間 分1
スリンダク(クリノリル)18時間 分2
エトドラク(ハイペン)7時間 分2
セレコキシブ(セレコックス)7時間 分2
短半減期:
イブプロフェン(ブルフェン)2時間 分3
ロキソプロフェン(ロキソニン)1.3時間 分3
ジクロフェナク(ボルタレン)1.3時間 分3

副作用では、胃腸障害は高頻度(3~15%)に発症し、その機序は胃粘膜におけるCOX-1阻害によります。NSAIDs潰瘍には危険因子が知れられており、これらを避けるのが最もよい予防法であるが、PPIやPG製剤の併用は胃腸障害をある程度予防できます。プロドラッグは吸収後に肝などに活性型に代謝されるため、消化管への直接傷害作用が少ないとされます。
次いで腎障害が重要であり、浮腫、高血圧も起こりうります。心血管系障害は、選択的COX-2阻害薬のみならず、アスピリン以外のNSAIDsに共通した副作用です。
アスピリン喘息はいずれのNSAIDsでも起こりうりますが、COX-2阻害薬、塩基性NSAIDs、AAPは誘発しにくいとされます。

参考文献:「今日の治療薬 2024 南江堂」

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