梶が谷駅前内科クリニック
公式ブログ
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ペースメーカは、徐脈に対する確立された治療法であり、広く普及しています。日本では超高齢化社会を迎えており、心臓刺激伝導系に構造的・機能的変化をきたす高齢者も多くなっています。不整脈治療、とりわけ徐脈性不整脈に対するペースメーカ植込みは日常診療において重要な治療選択肢となっています。
1.ペースメーカ植込み適応
ペースメーカの植込み適応は、自覚および他覚的な臨床所見と徐脈の因果関係を確認することが重要です。
一過性脳虚血に伴うふらつきや失神、低心拍出状態による浮腫や労作時息切れなどの心不全症状が無いか、それらと徐脈が関連しているかを判断します。その評価のため、Holter心電図などが用いられます。
1)洞不全症候群
安静時に1分間の脈拍数が持続的に50回未満を洞性徐脈ということが多いです。
ペースメーカ植込み適応を規定する明確な基準はありませんが、心拍数<40/分、心室停止>3秒が一つの参考となります。
一方、徐脈頻脈症候群での心房細動に対するカテーテルアブーレーションや甲状腺機能異常の是正など、合併する基礎疾患を治療することによりペースメーカが不要となることがあり注意が必要です。
2)房室ブロック
房室ブロックでは、長時間の心静止や徐脈に伴い、失神以外にも心不全の増悪や致死性不整脈の発生をきたすことがあります。無症候でもMobitzⅡ型以上の高度房室ブロックや完全房室ブロックでは、ペースメーカ植込みの適応となります。
2.ペースメーカの進化
1)刺激伝導系ペーシング
手技の容易さと安定性から心室ペーシングに関しては、従来から右室心尖部にリードを留置し、ペーシングを行われてきています。一方、QRS幅の増大と医原性左脚ブロックを起こすことがあり、ペーシングの影響で心室間(左心室と右心室)や心室内(中隔と側壁)に非同期が生じ、収縮能の低下や左室の拡大をきたす可能性があります。
ペーシング誘発性心筋症と呼ばれます。
近年では、もともとの心機能が低下した症例などにおいては、His束や左脚といった刺激伝導系を直接ペーシングする刺激伝導系ペーシングの使用が推奨されています。
2)リードレスペースメーカ
一般的に使用されているペースメーカは、血管内を通してリード先端を心筋に留置し、もう一方を皮下ポケット内のジェネレーター本体と接続して使用します。
その問題点として感染や本体露出などの皮下ポケットに関連したものや断線などのリードに関する合併症があります。
それらを回避するために、リードと本体が一体となったリードレスペースメーカが開発され、臨床応用されています。
3.ペースメーカ使用の実際とフォローアップ
1)モードおよびペーシング設定
ペースメーカの動作モードは、NBGコードで定義されています。
徐脈性心房細動で主に使用される心室のみのペーシングモード(VVI)以外では、生理的でかつ心室ペーシングの割合を減らすことで心房細動の発生抑制が可能なAAI(R)⇔DDD(R)などのモードが使われます。
2)ペースメーカ患者のフォローアップ
植込み術早期(~1か月)は、創部感染やリード位置移動のリスクが高く、早期チェックが重要です。
動悸、失神前駆症状など患者の自覚症状についても十分な問診を行うことで、術後に生じるペースメーカ症候群などの診断が可能となります。
診察では、発赤、腫脹、浸出液の有無などの創部の観察に加えて、胸部X線でのリードおよび本体の位置の確認、デバイスチェックが重要となります。
慢性期には、重篤な問題が起こることはそう多くはなく、通常6ヵ月から1年に一度の頻度でチェックを行うことが一般的です。
バッテリー残量だけでなく、ペーシング比率、感知機能、リードインピーダンス、閾値、さらには不整脈イベントの記録を含めた包括的な評価を行います。
参考文献:
「日本内科学会雑誌 115② 大学・中核病院での循環器治療後に、近隣クリニック外来で注意するべきポイント 日本内科学会」
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