低用量ピル

低用量ピル
日本では、低用量ピルの普及率が欧米に比べて高くはありません。ピルに対するあまり良くないイメージがあったからですが、それは中用量ピルの時代の話であり、今は、低用量・超低用量ピルの時代です。また、ピルといえば、避妊のイメージがあるかもしれませんが、月経困難症の改善の他たくさんのメリットがあります。

産婦人科以外の内科でも処方は可能です(特別な血液検査や婦人科の内診も必要ありません)。

◎保険診療での治療も可能であり、治療費もそれほど高くはありません(保険診療で月1500円~2000円、自費診療で3000円くらいです)注)当院では、現時点では、保険治療のみ

副作用もそれほど多くはありません。吐き気やめまいなどは、大抵1-2か月でなくなってきますし、血栓症もピルの内服よりも妊婦さんの方が数十倍も発症率が高いです。

◎使用しない方がいい人は、血圧が高い人、35歳以上で喫煙している人、片頭痛、血栓症の既往、がんに罹患、妊娠や授乳中の方などです。

メリット(効果)
避妊効果 →自費診療
生理の移動(生理を遅らせたり、早める)→自費診療
月経困難症(生理痛)の軽減、月経不順や月経過多の改善、月経前症候群(PMS)の緩和 →保険診療
子宮内膜症の改善 →保険診療
ニキビや肌荒れの改善 →自費診療
卵巣がん、子宮体がんの発症予防 →自費診療

デメリット(副作用)
◎一時的な吐き気や頭痛、めまい、不正出血(2か月ほどで身体が慣れる)
血栓症(肥満や喫煙でリスクが上がる)

ピルおよび低用量ピルの種類
ピルには、女性ホルモンのエストロゲンの量(1錠中)により高用量から中用量、低用量や超低用量の区別があります。
高用量:50μgより多い、中用量:50μg、低用量:50μgより少ない、超低用量:30μgより少ない

低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが含まれています。エストロゲンはすべて同じ種類のエチニルエストラジオ―ルが含まれていますが、プロゲステロンの種類と開発順に4世代(4種類)に分けられます。さらに、低用量ピルには、一相性と三相性の2種類があります。また、低用量と超低用量自費薬と保険薬の2種類の分類もあります。

低用量ピルの種類
尚、カッコ内はジェネリック薬品です。また、保険薬はルナベル(フリウェル)LDなどの表示としています。

 三相性(生理的なホルモン動態に対応。1周期内のエストロゲンの量を3段階に増減し、1周期内のエストロゲンの総用量も一相性よりも少なくなります) 
第1世代「ノルエチステロン」シンフェーズ→適応は避妊で自費。
第2世代「レボノルゲストレル」トリキュラー(ラ・ベルフィーユ)、アンジュ→適応は避妊で自費。一番普及していて、不正出血も少ないようです。

 一相性(1周期内のエストロゲンの量が一定)
第1世代「ノルエチステロン」ルナベル(フリウェル)LD→月経困難症に保険適応あります。
第3世代「デソゲストレル」マーベロン(ファボワール)→適応は避妊で自費。男性ホルモン作用が少なく、にきびにも効果的です。

超低用量ピル(一相性のみ)の種類

 一相性
第1世代「ノルエチステロン」ルナベル(フリウェル)ULD→月経困難症に保険適応あります。
第2世代「レボノルゲストレル」ジェミーナ→月経困難症に保険適応あります。
第4世代「ドロスピレノン」ヤーズ/ヤーズフレックス→月経困難症に保険適応あります。ホルモンの変動が少ないため、吐き気や頭痛が少なく、軽度の利尿作用(抗ミネラルコルチコイド作用)で浮腫や月経前症候群(PMS)に効果があります。ヤーズフレックスは子宮内膜症に伴う疼痛改善にも保険適応があります。
ジェミーナ(77日間)、ヤーズフレックス(120日間)は長期間連続服用可能→月経回数をできるかぎり減らすことができ、PMSの出現回数や月経前の諸症状を減らすことができます。

尚、当院では、現時点では、保険治療のみ行っております。今後経過を見て自費薬も取りそろえることも検討しております。

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