透析患者さんの手根管症候群

手根管症候群とは、長期人工血液透析患者さんの合併症として知られている透析アミロイドーシスを起因として発症します。

β2ミクログロブリンに由来するアミロイドが手首の関節(筋膜や腱滑膜など)に沈着し、手の神経(正中神経)の通り道である手根管が相対的に狭くなり、神経が圧迫されて発症する末梢神経障害です。

症状には、親指から薬指(親指側)のしびれや痛みがあり、長期的には親指の付け根(母指球筋)の筋力低下と萎縮が起こります(ペットボトルのふたが開けられなくなったり、OKサインができなくなったりします)。

長期透析患者さんでは、ファーレンテストよりも奥津テストが有用です(患者さんと握手し、手首を親指側に曲げ、1分以内に親指から薬指の指先にしびれがでれば、可能性が高いです)。

治療には、手術があります(内視鏡下手根管開放術)。
局所麻酔による内視鏡手術であり、傷も目立ちにくく、日帰り手術も可能です。

日ごろから手指の関節拘縮予防のために、全身の関節を動かす運動が効果的で、再発例にはβ2ミクログロブリン吸着療法が効果的です。

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